建設業許可を持っている場合、法人の役員交代や事業年度ごとの決算時には、必ず変更届を提出する必要があります。変更届が未提出のままだと、罰則や行政処分の対象になるだけでなく、更新申請の不受理や許可が取り消される可能性もあるでしょう。
今回は、広島の建設業許可の変更届について、対象となるケースや書類準備のポイントをわかりやすく解説します。
建設業許可の変更届とは?提出が必要な5つの主要ケース

建設業許可は、一度取得したら終わりではありません。許可を適正に維持するためには、建設業法で定められている事情が発生した場合に、発生した事情について変更届という届出をする必要があります(建設業法第11条)。
ここからは、建設業法で定められている、変更届が必要になる代表的なケースについて解説します。
法人の役員や代表者の変更が発生したとき
取締役、執行役など法人の役員に変更があった場合は、その都度変更届が必要になります。たとえば、役員が新たに就任・辞任しした場合や、代表取締役が変更した場合などが該当します。
法人の商号変更・営業所移転・営業所新設があったとき
法人の商号(会社名)の変更、法人の本店や建設業法上の営業所の所在地の変更、営業所の新設・廃止があった場合なども、変更届が必要です。建設業法上の営業所とは、建設業許可を申請する際に営業所として記載した場所のことであり、法人の本店所在地とは異なる場合があります。
なお、営業所を新設する場合は、新設する営業所に使用人(令3条使用人)や専任技術者(営業所技術者等)を新たに配置する必要があり、新たに配置した使用人や専任技術者についても変更届が必要になる場合があります。
経営業務の管理責任者、専任技術者の変更があったとき
経営業務管理責任者(経管)や専任技術者(営業所技術者等)に変更があった場合も、変更届が必要になります。とくに、経営業務の管理責任者と専任技術者の存在は許可の要件であり、不在になると最悪の場合は許可の取消しになる可能性もあります。
なお、経営業務の管理責任者と専任技術については以下の記事でそれぞれ詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
建設業許可の業種追加をしたとき
現在持っている建設業許可の業種に加えて、新たに別の業種を追加した場合は、変更届が必要です。さらに、業種を追加した場合は、追加した業種の専任技術者を営業所に専任配置する必要があり、専任技術者の追加についても変更届を提出することになるため、忘れないようにしましょう。
なお、建設業許可の業種追加については「建設業許可の業種追加の基本と広島で押さえるべきポイントを解説!」で詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。
事業年度が終了したとき(決算変更届)
毎年の事業年度終了後には、財務諸表や工事経歴書などをまとめた「決算変更届」を提出する必要があります。決算変更届は、ここまで解説してきたほかの変更届と異なり、毎事業年度ごとの提出が許可業者に義務付けられている届出であるため、提出忘れがないように注意が必要です。
変更届の提出期限

変更届の提出期限は、届出の対象となるケースごとに分かれていますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
2週間以内の届出が必要なケース
経営業務の管理責任者や専任技術者の変更、建設業法施行令第3条に規定する使用人(支店長・営業所長など)の変更、健康保険等の加入状況の変更などが該当します。
提出期限が2週間と短いため、忘れずに提出するように注意しましょう。
30日以内の届出が必要なケース
30日以内の届出が必要となるのは、法人の商号や主たる営業所の名称または所在地の変更、役員の就任・辞任などが対象となります。
なお、法人の役員が変更になる場合など登記事項の変更が伴うケースでは、添付資料として登記事項証明書が必要になりますが、登記が完了してからでないと取得できません。したがって、登記の完了を待ってから準備を始めると期限に間に合わない場合もあるため、登記手続きと並行して書類準備を進めるのがよいでしょう。
事業年度終了後4ヶ月以内の届出が必要なケース
決算変更届のみが該当します。たとえば、3月31日が決算の法人であれば、4ヶ月後の7月31日が期限になります。また、個人事業主の場合は1月1日から12月31日までが事業年度であるため、翌年の4月30日が期限になります。
決算書が準備できたら、速やかに決算変更届の作成を進めるようにしましょう。
提出期限の一覧表
以下の表は、ここまで見てきた変更届が必要な代表的なケースごとに提出期限を整理した表になりますので、参考にしてください。
| 期限 | 主な対象事項 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 2週間以内 | 経営業務の管理責任者、専任技術者、令3条使用人、健康保険等の加入状況の変更 | 建設業法第11条第4項・第5項 |
| 30日以内 | 法人の商号、営業所の名称・所在地、役員、資本金額、兼業事業の変更 | 建設業法第11条第1項 |
| 事業年度終了後4ヶ月以内 | 決算変更届 | 建設業法第11条第2項 |
広島の変更届の提出先

建設業許可が広島県知事許可の場合、変更届は主たる営業所の所在地を管轄する建設事務所に提出します。広島県内の建設事務所は5つに分かれており、次のようになっています。
必ず、事前に管轄の建設事務所を確認するようにしましょう。
| 事務所名(担当課) | 管轄 |
|---|---|
| 西部建設事務所(建設業課) | 広島市、大竹市、廿日市市、江田島市、 安芸郡(府中町・海田町・熊野町・坂町)、山県郡(安芸太田町・北広島町) |
| 西部建設事務所 呉支所(管理課) | 呉市 |
| 西部建設事務所 東広島支所(管理課) | 竹原市、東広島市、豊田郡(大崎上島町) |
| 東部建設事務所(管理課) | 三原市、尾道市、福山市、府中市、世羅郡(世羅町)、神石郡(神石高原町) |
| 北部建設事務所(管理課) | 三次市、庄原市、安芸高田市 |
提出方法の注意点
広島県では、令和5年6月以降、変更届の提出方法は原則として電子申請システムまたは窓口持参のいずれかとなっています。窓口の受付時間は平日(月曜日から金曜日、祝日を除く)の9時から11時、13時から16時ですので、時間に遅れないように注意が必要です。
広島の建設業許可の変更届に必要な書類と準備するポイント

変更届は、変更内容ごとに提出する書類が細かく定められています。
ここからは、変更届の主な必要書類について、よくある変更届ごとに詳しく見ていきましょう。
法人の役員変更時の必要書類
法人の役員が新たに就任した場合、以下の書類が必要になります。退任した場合は、基本的に法人の登記事項証明書のみが必要です。
なお、「登記されていないことの証明書」と「身分証明書」は名称が似ていますが、まったくの別物です。登記されていないことの証明書は法務局、身分証明書は役員の本籍地の市役所でそれぞれ取得する必要があります。
とくに、役員の本籍地が遠方の場合、身分証明書を郵送で取得することになり、取得までのかなりの時間を要するケースもあるため、提出期限に遅れないように注意しましょう。
商号変更・営業所所在地の変更時の必要書類
商号を変更した場合、法人の登記事項証明書が必要です。また、営業所の所在地を変更した場合は、営業所の外観、内観、看板などの写真が必要になります。写真については、いろいろな角度から複数枚の写真を撮影して準備するのがよいでしょう。
なお、営業所を新設するときは、その営業所に常勤する令3条使用人や専任技術者の配置も必要になるため、忘れないようにしましょう。
経営業務管理責任者・専任技術者変更時の必要書類
経営業務の管理責任者については、以下の書類が必要になります。
また、専任技術者については、実務経験を証明するための以下の書類が必要です。ただし、元々専任技術者として配置していた人の配置をやめる場合は、変更届の提出のみで問題ありません。
決算変更届の必要書類
決算変更届には、以下の書類を添付する必要があります。納税証明書とは、法人事業税や個人事業税の未納分がないことを証明する書類で、県税事務所で取得できます。
なお、財務諸表は税務署に提出した決算書をそのまま流用できないため、建設業用の財務諸表を作成する必要があります。決算書を写せばよいというものではなく、決算書を読み取って適切な科目に振り分けて作成しなければならないため、誤った数字を入れないように注意が必要です。
広島の建設業者を徹底サポート
「建設業許可を取りたい」「更新や決算変更届の期限が近い」「事業拡大で新しい許可や補助金が必要」という方は、当事務所にご相談ください。
広島もみじ法務事務所では、皆さまが事業に集中できるよう、必要な手続きや要件の確認・必要の準備・行政庁への提出まで一括で迅速に対応しています。
初回相談では、現在の状況をお聞きしたうえで、必要な許可や手続き、申請までの流れなどを分かりやすくご案内します。
変更届を提出しないリスク

変更届を提出しない場合、大きく分けて「刑事罰」「許可更新の不受理」「監督処分」の3つを受けるリスクがあります。社会的な信用を失うだけでなく、営業停止処分や建設業許可が取り消される可能性もあるでしょう。
とくに、許可の更新申請時に未提出の変更届を指摘されて、申請を受け付けてもらいないケースは多いです。更新申請の期限までに申請が受け付けてもらえない場合、許可が失効します。
変更届の未提出には大きなリスクがあるため、日ごろから注意しておくのはもちろん、事業において何らかの変更があった場合には、変更届が必要かを確認するようにしましょう。
建設業許可の変更届を行政書士に相談する3つのメリット

ここまで、建設業許可の変更届について解説してきました。変更届は該当する変更があった場合はその都度提出する必要がありますが、その都度必要かどうかを調べるのは手間がかかります。
また、提出期限も比較的短く、未提出の場合は許可の取消しや更新申請の不受理などのリスクがあるため、期限内に確実に提出することが重要なポイントといえるでしょう。
ここまでの記事を読んだ建設業者の方のなかには、現場と並行して変更届に対応するのが難しく、変更届の提出を専門家に相談したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
建設業許可の変更届は、専門家である行政書士に相談するのがおすすめです。ここからは、行政書士に相談する3つのメリットを紹介します。
1.適切な期限管理
1つ目のメリットは、変更届の提出期限を管理してくれることです。変更届が必要なケースと不要なケースを判断して、必要なケースについては提出期限を適切に一元管理してもらえます。
とくに、法人の役員変更と専任技術者の変更を同時に行った場合など、複数の変更届が必要になるケースでは期限管理が煩雑になりがちです。
行政書士に相談すれば、変更届を期限に遅れることなく適切に提出してもらえるため、許可が取り消される、更新申請が不受理になるといったリスクを抑えられるでしょう。
2.書類準備の代行
2つ目のメリットは、変更届に必要な書類の準備をすべて任せられることです。変更届を提出するには、届出書の作成以外にも身分証明書などの添付資料を揃える必要があります。
また、決算変更届の場合は、直近の工事の経歴書や、決算書をもとにして建設業用の財務諸表の作成など、専門的で書類を複数作成して準備しなければなりません。
行政書士であれば、身分証明書などの添付資料の取得から必要な書類の作成まで、基本的にはすべての書類準備を代行できます。行政書士に書類準備を代行してもらえば、変更届の準備に必要な時間を本業に使えるようになるでしょう。
3.窓口対応
3つ目のメリットは、提出も含めた窓口対応を任せられることです。たとえば、広島県の窓口は平日の一定の時間に限定されているため、本業のなかで時間を作るのは難しい場合が多いでしょう。
行政書士に相談すれば、変更届の提出や書類の補正も含めた窓口対応を一括で任せられるため、安心して本業に集中できるでしょう。
FAQ(よくある質問)

最後に、建設業許可の変更届について、よくある質問を見ていきましょう。
Q1. 変更届の提出期限を1日でも過ぎたらすぐに罰則が科されますか?
数日程度の遅延でただちに罰則が科されるケースは、基本的に少ないといえるでしょう。ただし、督促を無視するなど悪質と判断される場合や、長期にわたる未提出が続く場合は、罰則や監督処分の対象になる可能性があります。
遅くとも、未提出に気が付いた時点で速やかに提出するのがよいでしょう。
Q2. 決算変更届を数年分まとめて提出することは可能ですか?
過去の事業年度分の決算変更届をまとめて提出することは可能です。実際に、許可更新の直前に過去未提出分を一括で提出するケースも珍しくありません。
ただし、建設業用の財務諸表を数年分まとめて作成する必要があり、大きな負担になるケースが多いです。本業に支障をきたしたり、更新申請に間に合わなかったりすることがないよう、毎年期限内に提出するようにしましょう。
Q3. 広島県外に営業所を新設した場合の届出はどうすればいいですか?
主たる営業所を広島県内に置いたまま、従たる営業所を他の都道府県に新設する場合は、変更届ではなく「国土交通大臣許可」への許可換え新規申請が必要です。必要書類が多く、準備にはかなりの時間がかかるケースが多いので、余裕をもって準備を始めるようにしましょう。
Q4. 法人の代表者が変わった場合、変更届だけで足りますか?
法人の代表者が交代したら、代表者の変更届が必要です。しかし、代表者が経営業務の管理責任者を兼ねている場合は、経営業務の管理責任者の変更届も必要になります。
とくに、経営業務の管理責任者は建設業許可の要件になっているため、忘れないように必ず変更届を提出しましょう。
Q5. 行政書士に依頼する場合の費用相場はどのくらいですか?
費用は事務所や案件の複雑さによって異なりますが、変更届が2万円から5万円程度、決算変更届が3万円から6万円程度かかるのが一般的です。詳しい費用は変更内容や添付書類の量によって変動する場合があるため、問い合わせて確認するのが確実といえるでしょう。
まとめ
広島県の建設業許可の変更届は、法人の役員や代表者の変更、事業年度ごとの決算など、対象になるケースが数多くあります。また、変更内容ごとに「2週間以内」「30日以内」「事業年度終了後4ヶ月以内」のように提出期限が決まっているため、期限に遅れないように注意が必要です。
変更届が未提出のままだと、刑事罰や行政処分の対象になる場合もあります。とくに、建設業許可の更新申請が受理されない、最悪の場合は許可が取り消されるといったリスクもあるため、必ず提出するようにしましょう。
変更届を期限内に適切に提出するためには、行政書士に相談するのがおすすめといえるでしょう。行政書士に相談することで、提出漏れを防げるだけでなく、本業に集中できる時間の確保にもつながります。
変更届についてお悩みの方は、一度行政書士に相談してみてはいかがでしょうか。
広島の建設業者を徹底サポート
「建設業許可を取りたい」「更新や決算変更届の期限が近い」「事業拡大で新しい許可や補助金が必要」という方は、当事務所にご相談ください。
広島もみじ法務事務所では、皆さまが事業に集中できるよう、必要な手続きや要件の確認・必要の準備・行政庁への提出まで一括で迅速に対応しています。
初回相談では、現在の状況をお聞きしたうえで、必要な許可や手続き、申請までの流れなどを分かりやすくご案内します。

行政書士 海田 和裕
行政書士広島もみじ法務事務所 代表
(広島県行政書士会所属/登録番号:第25342757号)
広島県行政書士会所属。建設業許可を中心に、建設業者の許認可手続き・更新・変更届等をサポートする行政書士事務所の代表。
建設業許可の新規取得、更新、業種追加、決算変更届など、建設業に関する手続きを必要書類の確認から申請まで一括して支援している。
要件確認や書類準備を丁寧に行いながら、条件が整っている場合には受任から最短1週間での申請にも対応。建設業以外の許認可にも対応しており、建設業者の状況に応じた実務的なサポートを行っている。
広島の建設業者を徹底サポート
「建設業許可を取りたい」「更新や決算変更届の期限が近い」「事業拡大で新しい許可や補助金が必要」という方は、当事務所にご相談ください。
広島もみじ法務事務所では、皆さまが事業に集中できるよう、必要な手続きや要件の確認・必要の準備・行政庁への提出まで一括で迅速に対応しています。
初回相談では、現在の状況をお聞きしたうえで、必要な許可や手続き、申請までの流れなどを分かりやすくご案内します。

